短期集中連載 エロクエ2007 序章 03
メールやコメでのいろんなご意見感謝ですw
コッソリ読んでくれてる人もけっこういるので嬉しいですw
そんなこんなの第三話。どうぞw
桜雪舞い降りて、地、緋色の鬼涙に染まる。
- 紅蜘蛛城の幻影 序章 -
第三話
人生において劇的な変化を遂げる瞬間が何度かある。
私が憧れていたテレビ局に入社できた時が最高の変化の時だ。
と、ほんの昨日まで思っていたのに。
更なる変化は劇的すぎて現実味に欠けていて自分自身で実感のない世界。
生き物の進化もゆっくりした時間軸で進められていたのではなく
あるキッカケで激変するのだという説があるらしい。
ミッシングリンクといわれている人類の歴史上で解明されていない
数百年のなかでその進化は行われていたのではという説もある。
私は根本的な思考すら変えられていってしまうのではという
恐怖に襲われつつあった。
大きなモノを得てしまったからには大きなモノも失うのかもしれない。と。
2007年 4月29日 日曜日 午前1時
先日の大量殺人事件。
テレビではレッドカーペット殺人事件なんて滑稽な名前が付けられていたけれど。
その事件の波紋は当然の如く日本中を駆け巡っている。
死者48名 生存者1名という凄惨な結果は過去最悪の事件として記録された。
警視庁科学捜査研究所に所属する私は、ここの所長である陽鉈涼子先生の直属の部下として
配属されて3年しか経っていないが、きっとこれが今後も体験することのないであろう
大きな事件になるのではと思っている。
この事件以前に発生していた連続殺人事件の話題はメディアから薄れつつある。
それくらいのビジュアル的効果も存分に発揮された今回の事件もまた謎が満ち満ちている。
不特定多数の人物が出入りするネットカフェでたまたま店内にいた客がすべて命を落とした。
そう。命を落としたのは客で。唯一生存確認できた。というより生き証人として残された
その日のアルバイト店員はきっとこの惨劇を目の当たりにしてしまった以上
後遺症は残されるであろう。もちろん唯一の生存者なのだから容疑者としても監視下に
置かれているのではあるけれど。あんなことは単なる女子大生一人ができることではない。
と、誰もが思っている。世間の風評も彼女に対する同情が深まっているのも当然で。。。
店内に残された遺留品はすべて鑑識により確認作業が進められている。
不確かなデータの一つではあるがその場にいた客のリストもあるらしい。
でもコレに関しては不確実すぎて参考にならないと思われる。
今の時代、いくらでも偽名でカフェに入店することは可能だし。今回もまた。
たまたまその場に居合わせた客が不幸に見舞われたと推測するほうが自然だ。
何組かのカップル。下は10代の中学生から60代のサラリーマン。中には数名
ここの常連もいたようだが。それぞれのつながりは非常に薄い。
こうも姿の見えない犯人追求が続くと世界屈指の安全性が謳われている日本の警察も
それ自体が単なる伝説にすぎないのではないかとさえ思えてくる。
捜査経験や科学的な立証能力の高さが世界トップクラスといわれている所長でさえも
半分匙を投げてしまっているように思えた。
不毛だなぁ。。。。。
そう思いながらも僅かの痕跡を見つけてやろうと私は奔走している。
もうかれこれ4.5日は家に帰っていない。所内の人間以外の接触も佐々木刑事のみ。
いいのだろうか。こんな生活を続けているなんて。。。
女性としての真島琳はどこまで封印されることやら。と、客観的に分析してしまう。
そんないまいち焦点の合わない思考で数値と格闘している夜中に携帯の着信音が鳴り響いた。
着信画面には旧知の仲である立花香音の名前が点滅していた。
私は開口一番に祝福のコメントを浴びせかけた。
「見たよぉ。すごいじゃない。これでサンテレビの新人美人アナウンサーの看板は
不動の地位を得たってところじゃない?」
しばらくして香音の声が返ってくる。
「琳ちゃん。私。。。。。」
言葉に詰まる彼女に私は反省しつつ告げた。
「ご、ごめん。あんな凄惨な状況に立たされていたんだものね。。。」
事件当日。呆然とその臨時ニュースを見ている陽鉈先生の視線の先には
見慣れた顔の人物がその状況をほぼパニック状態ながら必死に伝えている姿があった。
普段、この時間でテレビに映る彼女はグルメリポートなどで笑顔一杯に
楽しい情報を提供している姿しか見たことのない私も所長の隣でその状況を見守っていた。
臨時報道として一番にこの放送を始めたのもサンテレビだった。
その日のサンテレビの瞬間視聴率は群を抜いて各局のトップに躍り出た。
そして翌日、他局からのインタビューも受けるほどに立花香音という新人アナウンサーの
名前は日本中に広まった。新聞の一面からネット上の小さな掲示板サイトに至るまで
彼女の話題はあっという間に広まりつつあった。
彼女とは月に一度顔をあわせお互いの憂さを晴らす様に食事をしたり買い物をしたりする
関係で先週も真夜中の長電話に興じたりしたのだが。
考えてみれば彼女にとってこのたった二日間での出来事は大変なものだったのだろう。
しばらく彼女の言葉が返ってくるのを待っていると。
「琳ちゃん。相談したい事があって。」
相談ならいくらでも聞いてあげてるじゃない。といつものように、
軽々しく返答できるような感じはなかった。
「電話だと。できない相談。。。。みたいだね。」
「。。。。うん。。。。」
私はひとまず身の回りの整理をしながら彼女の家に向かう準備をしていた。
これがきっかけでこの事件は加速度を上げて真相に向かっていくなどとは
その時の私は思いもしなかったのだけど。
2007年 4月30日 月曜日 午後10時
休日の夜というコトもあって普段閑散としているこのコーヒーショップにも
この時間でも数人の客が見て取れた。
昨日めずらしく真島琳から連絡を受け。
オレは今、彼女と彼女の友人である立花香音の到着を待っていた。
少し早めに到着した俺の前に彼女達が現れたのは約束していた10時ぴったりだった。
白衣姿しか見慣れていない真島の普段着と隣りでうつむき加減なテレビで見るより
一層華奢な印象を感じさせる立花香音を直視することはできなかった。
「あ。あ。あ。今。ちょっと私に惚れましたね。」
真島は目の前に香音を座らせると横に座ってきた。
「バカいってんじゃねぇよ。」
二人のやりとりに香音はただただうつむいているだけのようだった。
「大丈夫だよ。この人こう見えてめっちゃ優しい刑事さんなんだよ。ねぇ。佐々木さん。」
「ったくよぉ。だ、大丈夫ってなんだよ。」
ようやく視線をオレのほうに向けた立花香音は
「ど。どうも初めまして。私。立花香音といいます。」
そういうと小さく会釈した。
「あ。あぁ。知ってるよ。先週テレビでやってた巣鴨のそばや。うまかったわ。」
できるだけ緊張を解いてやろうと話題になりそうなことを俺なりに言ってみた。
隣りでその様子をくすくす笑いながら見ている真島琳と立花香音はアイコンタクトを
とって意思の交感をしているようにしてから
「ね。やさしいでしょ。」
「うん。ありがとうございます。」
そう言ってようやく話の本題に入ることになった。
「先日の放送のことなんですけど。」
オレはその放送を見たのは最初のほうだけだったが
後ほど天地が持ってきたVTRで詳細を確認していた。
「あぁ。当日は放送直後に直行したから見てなかったが、署に帰ってから見たよ。」
「そうですか。」
香音の表情が再び緊張感を漂わせ始めていた。
彼女は意を決するように俺に言ってきた。
「あれ。事前にうちの局は情報をリークしてたんだと思います。」
事件当日。天地に言われてテレビをつけたとき。
あの場所からはすでに血の絨毯が敷き詰められていたところだった。
そして署に戻り確認したVTRにはその場所が刻々と赤く染まっていく様子が
収められていたことからそれは薄々感づいていたが。。。。。
彼女の口から語られた詳細にオレは全ての事件の辿り着く先があることに
しばらくしてから思い知らされることになるのだった。
第四話に続く。
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参考にしたいけど、俺には無理だな~。。゛(/><)/ ヒィ
と、コッショリ覗いて帰ってます。